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カナダ移住の最初のきっかけは1998年の一週間の短期語学留学体験。翌年には、一年間の語学留学、そしてカナダでの就職を念頭に、一年間日本でお金を貯め、製菓専門学校に進む。卒業後は、街のベーカリーショップ、ケーキ屋、そして一流ホテルのペーストリー部門などを経ながら着々とペーストリーシェフとしての腕をあげ、現在は、バンクーバーで最も人気の高いケーキ屋の一つGanacheでペーストリーシェフを務める。

Q:バンクーバーに来られたきっかけをお伺いしてもいいですか?
A:最初は一週間だけの語学留学で1998年にバンクーバーに来ました。カナディアンとの交流をとても楽しみにしていたのですが、私がお世話になったホームステイファミリーの第一言語は英語ではなく、コミュニケーションをとるのがとても難しかったんですよね。ホストマザーの英語も完璧ではなく、私の英語力も低いという状態ですから。でも、バンクーバーという街自体は大好きになり、そして、ホームステイという自分の家族ではないファミリーと住むことには興味を持ち始めました。翌年は、長期語学留学に切り替え、語学学校のホームステイ手配サービスには英語を第一言語としたカナディアンファミリーでホームステイしたいという希望を出しました。そこでお世話になったロビンソン夫妻に、実は今もお世話になっているんですよ。

Q:え!7年以上ですよね?ホームステイをそれだけされるってすごいですね。
A:私もそう思います。ロビンソン夫妻との出会いが、私のカナダ移住のきっかけであったといってもいいと思います。最初は一カ月間のホームステイの契約だったのですが、とてもよくして頂き、もっとこちらの家族と一緒にいたいと思うようになり、長期滞在を依頼したら快く受け入れてくださり、今に至ります。ご夫妻は、お二人とも70歳を過ぎていますので、私と一緒に住むことで安心感もあるようですね。一緒に外に買い物や食事に行ったり、私が食事を作ったり、旅行に行く事もあります。もう、本当の親子のようですね。

Q:どうしてペーストリーシェフの道を選ばれたのですか?
A:私が初めてカナダに一週間の語学留学に来た時は29歳でした。それまでは看護師の仕事を日本でしていたので、カナダで就職をするならば看護師の資格をとろうと思ったのですが、BC州のナース登録にはIELTSのスピーキングで8.5必要と、その頃の私の英語力では到底かなわないレベルでした。カナダでの職を得るにはどうしたらよいのか迷っていたら、通っていた語学学校のアドバイザーの方にVancouver Community Collegeの製菓コースを紹介してもらったんです。昔から家でお菓子を作るのが大好きだった私は「これだ!」と思い、製菓専門学校に通う決意を固めました。しかし、問題は資金です。一年間の語学学校修了後は、一旦、日本に戻り、資金を貯めることに専念しました。

Q:その一年間の間に、気持ちの変化はなかったですか?やっぱり、他の道へ進もうとか。
A:全くありませんでした。とにかく日本での一年間は製菓コース入学に向けて一生懸命準備をしましたね。ちゃんと資金も貯めることができ、めでたく2003年にVCCの製菓プログラムに入学することができました。製菓コースでは実習があるのですが、その時にお世話になったのがGanacheなんですよ。お店をオープンして二年目の時だったので、スタッフも今ほどはいなく、少人数でお店を切り盛りしており、インターンでありながら学ぶことは多かったですね。当時、ディプロマプログラム卒業後三か月以内に就職先を見つければ、プログラムと同期間の就労ビザが出ました。私は、Ganacheで働きたかったのですが、その当時は新たにフルタイムのペーストリーシェフを雇う必要がお店にはなかったんですよね。しかし、幸いにも10th Ave.にあるMix The Bakeryというベーカリー専門店から就労ビザサポートのオファーをもらうことができました。Mix the Bakeryでフルタイムとして勤めている間もGanacheのお手伝いを週末にしたりと、Ganacheとは常に繋がってはいましたね。そうこうしているうちに、Ganache自体お店の規模が拡大していき、新たなフルタイムのペーストリーシェフが必要になり、オーナーからオファーをもらうこととなりました。製菓の道、とくにケーキ作りの道へ進みたかったので、ベーカリー専門のMix the Bakeryを退職し、Ganacheで働くことを選びました。

Q:それ以来ずっとGanacheで働かれているのですか?
A:いえ、実は私、Four Seasonsにも勤めたことが、あるんですよ。Ganacheで勤め始め二年が程が経過した頃に、Four Seasonsのペーストリー部門でのポジションのお話しが舞い込んできました。Four Seasonsの面接は4回もあり、その場にある材料でお菓子を作ったりなどとてもスキルを要求される面接だったのですが、一旦、仕事に就いてみると、私が所属していた夜部門チームのペーストリーの仕事は、昼部門のシェフが用意した菓子をお皿に盛り付ける作業といったとても単純なもので、サラダやスープなどチームの中で人手の足らない箇所を助けることが多かったんです。Ganacheのように、自分の手で愛情を込めて作った菓子を喜んで食べてくれるお客さんの顔も見えない、お客さんの声も聞けない、お客さんとのコミュニケーションもない、それがFour Seasonでしたね。入社して数カ月も経つと景気の悪化でホテル内のシェフの人数削減やシフト削減があり、まず影響を受けたのが、私のような新しく入社したシェフ達でした。私のシフトが削られていくなか、新たな就職先を探していたところ、Ganacheに戻ることになりました。もちろんお給料はFour Seasonsに比べれば下がりますが、ペーストリーシェフとしての喜びは比べ物にならない程、Ganacheで働くほうが大きいので、仕事のやりがいを第一に考え、Ganacheに戻ることを決意しました。

Q:これからのキャリアビジョンをお伺いしてもいいですか?
A:Ganacheのオーナーは私がとても尊敬できるペーストリーシェフなんですよ。彼のように製菓デッサンができたり、クリエティヴに新作をシーズン毎に発表したり、ウェディングケーキやチョコレートアート等、何でも出来るペーストリーシェフになりたいです。とにかく、お菓子作りが大好きで、自分が作ったお菓子を多くの人達に食べてもらいたいと思いながら毎日を過ごしています。